Hongkong Photography 001
SaiYinPun001 我が町感あふれる西營盤
2018年9月。10回目の香港訪問でした。旅の拠点は西營盤(サイ・イン・プン)。香港島の中心、中環(セントラル)からMTR(地下鉄)で西へ2つめ。中環(セントラル)が丸の内だとすると、お隣の上環(ションワン)は上野。そしてこの西營盤(サイインプン)は日暮里のようなところでしょうか。下町情緒いっぱいで、ここに5泊する間にすっかり溶け込み、自分の街であるかのような愛着を持つことができました。

西營盤も中環や上環と同じ、急坂の街。ヴィクトリア湾から、バスやトラムの走る道を横切るとすぐに急な坂となり、その坂の斜面に建てられた街です。自分の足で上がるのはよほどの健脚の持ち主でない限り苦しそう。

ということで、街の真ん中を上下に貫く正街(Centre St.)には屋根付きのエスカレーターが設置されています。
中環にある世界一長いエスカレーターから比べるとずいぶん可愛いですが、このエスカレーターに毎日助けられていました。

エスカレーターから眺める景色です。

ツーリストだけでなく、地元の人たちにとっても日常の脚となっています。

エスカレーターの隙間から眺める小さな空間の中に、どれだけたくさんの人が暮らしているのでしょう。香港という特別な歴史、特別な未来を持つ街の人たちが何を考え、何に喜び、何に悲しみ、何を願って生きているのか。興味がつきません。

正街の右側には正街街市(Central Street Market)が、左側には西營盤街市(Wet Market)と、ふたつの大きな市場が並び、2階部分が通路で繋がっています。
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西營盤の街は、海側から山に向かって縦(南北) に、東邊街(Eastern St.)、正街(Centrer St.)、西邊街(Western St.)と、三本の道が走り、それを貫くように東西に、海側から、徳輔道西(Des Voeux Road West)、皇后大通西(Queen’s Road West)、第一街(First St.)、第二街(Second St.)、第三街(Third St.)、高街(High St.)、般咸道(Bonham Road)が走ります。

正街が第三街と交わるあたりです。

正街が皇后大通西と交わる交差点。

高層ビル群の隙間にヴィクトリア湾が見えます。香港らしい風景です。

高街です。町工場とモダンなパブやレストランが混在する通りなのですが、このあたりは町工場が多かったです。

高街と東邊街の間に建つ一級歴史建築物。西營盤社區綜合大樓(Sai Ying Pun Community Complex)。

1892年の建築ということですでに築130年以上。その間、看護師宿舎や精神病院として利用されてきましたが、30年以上も廃屋だった期間があることから「高街のお化け屋敷」と噂されるようになったとか。お隣りのジョージ5世記念公園から鬱蒼と生い茂って来るガジュマルの木とも併せて、独特の雰囲気や重みを感じる建物です。

高街から見下ろすジョージ5世記念公園。

高街でもモダンなパブやレストランが並ぶあたり。これはタイ・レストラン。

真ん中はタイ・マッサージのお店。帰国前夜、揉んでもらいましたが、疲労が一気に吹っ飛びました。

西邊街に来ました。第二街と交わるところに建つピンクの建物。「第二街公共浴室」。シャワーのみですが無料で利用できるとのことです。中国人居住区の衛生状態が悪く疫病が流行したことから、20世紀に入って香港政庁が中環やこのあたりに建設を進めたもので、西營盤のこの浴室は1922年に建築されました。

公共浴室のすぐ上にあるのが「西區社區中心(Western District Community Centre)」。地区センターのような施設でしょうか。1922年に産婦人科のクリニックとして建設された建物とのことです。

西邊街のミニ・バス乗り場です。5系統も出ているのですね。西營盤はこれ以外にも、MTR(地下鉄)、トラム、バスと交通の便はとてもよかったです。

MTR(地下鉄)の改札口に向かう地下通路です。

毎日、壁画アートを楽しんでいました。

MTR港島線は長い間、西方面は上環(ションワン)までで止まっていたのですが、2014年12月に西港島線として延長され、新たに西營盤、香港大学、堅尼地城(ケネディ・タウン)の3駅が新設されました。このうち西營盤駅のみは工事の遅れで2015年3月29日に開業となりました。

MTR港島線の車内です。香港島の中心、中環まで2駅。乗車時間4分と至近にありながら、ローカルでレトロな雰囲気がいっぱいの西營盤。

皇后大通西まで降りて来ました。香港らしい活気のある光景です。